美住の家① <敷地を読む①>
新しいプロジェクト、「美住の家」が進んでいます。今後、現場の進行と共にこの住宅の設計で考えたことを解説していこうと思います。
敷地は不完全な南北二面道路で南側道路では道路の一部が接道しており、北側道路では全長接道しているものの高低差(ブロック擁壁)があって、クセのある形状をしていました。南北道路共に私道であったため掘削許可が必要で、道路所有者の方に同意が得られているかどうかも確認する必要がありました。なお、私道とは建築基準法上で法42条1項5号に該当するもので、多数の個人が所有しているので掘削など道路に手を入れる必要がある場合は所有者の許可が必要とされる道路です。敷地北側のブロック擁壁は長年の土圧により傾いていました。このブロック擁壁は道路に崩れてこないようになんとかしないといけません。さらに南側道路の接道が短かったので、駐車場のレイアウトもなかなか難しそうでした。
一方で、メリットもありました。これだけクセのある土地となると土地の価格が下がってくることがありますが、ここも周辺の土地に比べると割安になっていました。前述した問題点をクリアできれば、コストメリットのある土地と言えました。もう1つのメリットは二面道路です。北側斜線が道路により緩和されることにより、建物の高さを確保できる利点がありました。高度地区のある地域では北側斜線でボリュームが決まってしまうことが多く、ロフトで床面積を稼ぎたいと思っても確保できなかったり、建物の形に凹凸が生じて外観のプロポーションが崩れてしまったりします。これを回避できる北側道路というのは決して悪いものではありませんし、今回は南側にも道路があったので、採光も確保できるメリットがありました。
さて、これらの欠点と利点を踏まえて敷地に対してどうアプローチしていくか・・・次回の記事にて解説します。