美住の家③ <軸組をデザインする>

美住の家、建方が完了しました。今回は2階にLDKとロフトがあるので、2階の気積はかなり大きいものとなっています。天井高は3400mm(部材長さ3250mm)なのでその分柱が長くなりますが、木造の柱には小径比・細長比(令43条)の規定があるので、これをクリアする必要があります。2階建ての2階部分なので、①小径比は1/30とする(※1)、②細長比を1/150を満足させつつ構造計算にて許容圧縮応力度を満足する、といういずれかを満足させる必要がありますが、今回は②を採用しています。

柱座屈長さ

具体的な計算として、105角の柱のi=√(105×105/12)=30、λ=Lc/iより、λ=3250/30=108<150なので細長比はクリアしています。さらに、柱にかかる軸力Nを屋根の負担面積と耐力壁による付加軸力より計算し、許容応力度計算(告示1349号第2で定める柱の計算で、σc=N/A<fc。計算は割愛)をクリアして柱の設計は完了としています。本件では2階の柱なため軸力Nが小さく、柱を1間にて配置することが可能になっています。ちなみに、構造計算が可能とは言っても流通材の標準寸法を考慮して柱長さは4000mmを限界と考えております。また、構造用合板も3×6、3×8、3×10という寸法が規格なので、これをタテに貼り分けられるように受け梁を設けておく必要があり、隣接する耐風間柱も曲げ部材として設計しておく必要があります。

このような長い柱を設計したのはひとえに高い天井高を確保するためですが、それはまた後日に記載したいと思います。

新しい壁量等の基準(案)に対応した設計支援ツール(案)の公開

(※1)柱の小径比は令和6年6月27日の告示改正によって、変更が加えられています。座屈の理論式により柱の必要小径deを計算することができますが、本件の場合、2階建ての2階(平屋扱い)で金属屋根なので、de/l=1/39、de=82mmとなり、設計している三寸角で問題ない結果となります。日本住宅・木材技術センターよりツール(上記リンク)が提示されていますのでこれを使えば便利です。

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