美住の家⑧ <木の階段>
自治体にもよりますが、ロフト(小屋裏収納)へ上がる階段は建築基準法の階段規定である、幅75cm以上、蹴上23cm以下、踏面15cm以上を満足すれば固定式としてもよいこととなっています。ロフトはロフト下の床面積の1/2以下でないといけませんが、固定式とした場合はこの面積1/2にも階段面積が含まれるので注意が必要です。
今回は下階が折返し階段なのでロフトへ上がる階段も踊場付きの階段としていますが、階段の踊場がリビングの一部になって使える床がちょっと増えた感じでお得な感じがします。なお、2階にキッチンがある場合は冷蔵庫がちゃんと引っ越しできるのかも考えなくてはいけません。1階の階高が低く階段の勾配がキツいと冷蔵庫が上がらないこともあるので注意が必要です。
階段は、納まり(できるだけ接合しているところを見せない)を考え、部材の断面を計算する(どこまで薄くスリムにできるのか)のが楽しい部位です。この種の「見せる」階段は鉄骨で設計することが多いのですが、折しも鋼材の価格が急激に値上がりしていたこともあって、木造でササラ桁・踏板を設計しました。杉やヒノキだとちょっと色味が床材と合わないので、造作家具のようにタモの集成材を用いてオスモカラーで仕上げています。
ササラ桁は36mm、踏板は30mmとしていますが、踊場部分は下の写真のように本体の壁から片持ち梁でぬっと持ち出していて、この梁にひっかけることでササラの長さを短くすることでスリムな断面となっています。
収納として設けているロフトへ上がることはそこまで多くないので、ササラ桁と踏板はボンド+ビスで留め付ける簡単なディテールとしていますが、大工さんは「逃げがない」ということで製作に苦労されていました。「頼む、やってくれ」ということでお願いしましたが、きれいに仕上げてくれた大工さんにはとても感謝しています。