細いRC柱を実現する

RCcolumn①

RCで細い柱を実現するには、現場では柱内の主筋と接続する梁の主筋の納まり、計算では主筋の付着割裂破壊(ただし部材種別FA・FBとすれば検討不要で、ICBA「構造関係基準に関するQ&A」付着割裂破壊の項を参照)と接合部の検討が課題となります。写真のケースでは450mmの幅に4本配筋していますが、鉄筋の径がそこまで太くないのでぎりぎり納まった感じです。駐車場のあるような場合は間口を広げるために躯体を絞る必要がありますが、本数+100mmぐらいの幅の確保はあらかじめ考えておきたいです。

上記のPtに加えもう1つ重要なのが柱のせいと梁のせい、階高によって決まってくるho/Dという指標です。RCラーメンの柱はスパンに比してせいが大きいと短柱となりせん断破壊をしやすくなりますが、これを判断する指標がho/Dです。柱のせいDを小さくするとho/Dは大きくなり変形を許容した柱となり、柱の部材種別は靭性の高いFAランクとなります。一方で、接合部の設計では梁の主筋が柱から抜け出ないことが必要(柱の奥行が必要)になってくるので、柱のせいDが大きいほど有利な計算式(※1)となっています。この検討に夢中になっていると柱の断面Dは徐々に大きくなっていき、結果としてho/Dが小さくなってしまいます。柱を小さくしたいのになかなかできない理由はここにあります。

特に、マンションの設計ではいつもぎりぎりの階高で建築の設計がなされているので梁せいが自由にならないことが多く、柱の有効長さhoの確保は難しいです。そのため柱せいDを検討するしかないのですが、Dを大きくしたり小さくしたりする調整は時間のかかるところです(もちろん柱が大きくなればプランにも関わります。意匠的には柱は小さい方がいいので・・・)。実務においては、少しでも省力化できるように上記のDとhoの目安表を作ったりしながら、一貫計算を何度も回して保有水平耐力を満足させていくことが多いと思います。

(※1) RC接合部耐力は、V=kφFbDで計算され、柱せいDに比例して耐力が上がります。ただし、例えば梁幅bを広げたりコンクリート強度を上げたりすることで耐力を上げることができますので、いろいろ試行錯誤しながら設計を進めていきます。

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